バロック様式の画家カラヴァッジョの「ナルキッソス」です。美しい絵です。
せんだってからオンライン美術講座を受けだしまして、毎日一枚づつ芸術作品の画像が送られてきます。
著作権的に問題ないものだそうです、先生には確認しました。
さて、この講座はまずギリシャ神話から勉強していく、とのことで、ちょうどギリシャ神話、キリスト教を勉強していこう、と本など買って読みだしたところだったので、それも受講を決断したきっかけですかね。
ルネサンス以降、近現代以前までの西洋絵画はギリシャ神話から題材をとったものが多く、そこをわかっていないと鑑賞していても理解が深まりません。
このカラヴァッジョの絵などはただ美しい青年の絵、として鑑賞しても十分ですけどね。
ナルキッソスは若く美しい、男女誰からも愛される青年でした。
森の妖精のエコーにも愛されますが、エコーはナルキッソスの言葉を繰り返すだけなので、退屈だ、と彼から見捨てられます。
悲しんだエコーは姿を隠し、声だけが残りますが、これがこだま、エコーの語源です。
こんなエピソードは思いを寄せてくれた人の数だけあり、その非情な様子を見ていた女神ネメシスは彼に自分しか愛せない、という罰を与えました。
ある時水を飲もうと泉を覗いたナルキッソスは、そこに映る美しい青年に魅せられて動けなくなってしまいます。
ここからはいろいろ言われていて、見入って動けないままやせ細って死んでしまったとか、その美しい青年、それはナルキッソス本人ですが、に口づけをしようとしておぼれてしまったとか、、、、
ナルシストの語源ですね。そして彼の亡くなった場所にはスイセンの花が咲いたので、スイセンをナルシスというようです。
この絵は画集でさんざん見ていましたが、本物をローマのバルベリーニ絵画館で観ました。
カラヴァッジョは本当に好きですね。この人は天才ですが、ならず者で人殺しまでして、逃げて最後は野垂れ死ぬんですが、どこへ行っても実力者の寵愛を受けて助けられるのに、それは彼の絵が欲しいから庇護して描いてほしい、ということもあるんですが、
結局いつも自分を抑えることができずに、狼藉を働いて助けてくれた人から追われるようなことになってしまいます。
カラヴァッジョは着た切り雀で不潔、いつもそのまんま寝たそうですし、常に刀をさしていたそうですから、気が休まらなかったでしょうね。
そんな彼ですが、描かれているモデルは大変気品がある、とわたしには見えます。
不良仲間や娼婦がモデルなのに、老婆や老人以外、主役の若い人は独特の美しさがあり、そこもカラヴァッジョの絵の好きなところです。
この絵を観たバルベリーニ宮殿は、映画ローマの休日で、オードリー・ペップバーンのアン王女が休日を過ごして帰っていくお屋敷として使われたようです。
このお屋敷は印象にあり、階段の淵なども覚えております。古いお屋敷です、古いものを守っていかなくてはならないイタリアって、大変だなと思います。