ダビデ、戦うには力が抜けた感じ、これがいいのか

ミケランジェロのダビデ像、教科書で観てきたと思いますが、ここフィレンツェのアカデミア美術館に本物が収蔵されていますが、レプリカがシニョーリア広場とミケランジェロ広場にあります。

そこは青空の元、ほかにも幾つもの重要な展示品がありますからそこでレプリカを観て、アカデミア美術館に行かれない方もいるでしょうね。

西洋美術の題材としてギリシャ神話とキリスト教は外せませんが、ダビデは旧約聖書の実在の人物です。

ダビデはだいたい二つのエピソードで作品になってます。一つはこの場面ですが、ペリシテ人が攻めてきたときに、巨人ゴリアテの挑戦を受けます。

誰かひとり自分と一騎打ちで戦い、それで戦争の勝敗を決めよういう挑発です。

ダビデは竪琴が上手で戦争で疲れたサウル王を慰める役として召し抱えられたそもそものは羊飼い、姿もいい優男。

イスラエルを守るために自分が撃つ、と申し出た時はみなが反対しましたが、羊たちを獣から守るために投石をしてきたので、勝算があったのでしょう。ダビデが裸になって石だけ持っている姿に油断した、そのために裸体だ、という説もあるようですが、実際に裸だったんでしょうかね?

石をゴリアテの眉間に投げて倒れたところにすかさず駆け寄り、ゴリアテ自身の剣を抜き取ってゴリアテの首を取りました。

少年のようなダビデがゴリアテの首を掲げるカラヴァッジョの絵をウィーン美術史美術館で観ました。こちらのダビデは薄衣をまとっています。

このダビデはまさに右手に持った石を投げようというところ。左肩には投石機?パチンコのようなものでしょうか、、、を載せています。

ローマのボルゲーゼ美術館にも、ベルニーニのこんな場面の像があったはず。

このころのダビデはまさに英雄で、イスラエルのサウル王に気に入られて王の娘と結婚して、そののちあまりにも民衆に人気があることからサウル王の妬みを買い王に命を狙われたりもしますが、恩のある王を恨むこともなく、王亡き後も、南北に分かれていたイスラエルと統一して、立派な王様でした。

もう一つ、ダビデが美術の題材になるのは、、、、、彼の汚点として語られるのですが、

この後あまりに栄えたために初心を忘れたダビデ王が、部下の兵士の奥さんの水浴び姿を見染めて手籠めにするという、

しかも邪魔になった夫である部下を、戦死させるために最前線に飛ばし、思惑通り部下が戦死した後、その未亡人と結婚しました。

この人妻バテシバが水浴びする場面が絵画の題材になります。

不倫中に授かった子は罰として死ぬ、と神から言われたとおり亡くなりましたが、自分のしたことを悔い改めて、結婚してから授かった子供はあのソロモンで、知恵者として3000もの格言を残したという有名な人です。

神話もキリスト教も本当に人間臭く、神様も賢者も間違いばかりの繰り返しで、そこがなかなか面白いです。

例えば最高の神ゼウスの三番目の奥さんは、ゼウスのお姉さんですからね、ギリシャ神話の系図は近親相姦だらけ、、、、、とうとうこんな言葉を使ってしまって残念ですが、

そんな感じです。ですがカラっととぼけてさっぱりしていて何なんでしょうね、ギリシャの神様って。

アカデミア美術館のダビデ像に向かっていく長女、、、教科書やカタログで観てきた本物がすぐそこに、と思うと、、、そしてずっとここにいたんだね、と思うとやはり感慨深いものはありますよ。

団体であちこちの都市に一泊か二泊して移動みたいな旅だと、フィレンツェだったらここに来るようで入場はすごい人で、一度諦めて出直しました。

美術館賞は関係ないけど名物観光に来た、という人が多かった印象です。

長女のおかげでダビデ像の本物も見れてありがたいです。今年は無理でしょうが、旅行がオッケーになったら欧州には行きたいです。

日々、西洋美術史をおさらいしてますから、次回は見逃しのないような鑑賞をしたいです。