「星々を従える太陽」と言われたティツィアーノ

上野の東京都美術館に「ティツィアーノとヴェネチア派展」に行ってきました。

平日の12時1分の快速に乗り品川まで行き、そこからJRに乗り換えて上野まで。

上野公園は程よく人出もあり大道芸人さんにも程よく人だかりができて、まだ一度も入ったことはないですが、カフェなどもちらほらあり、いい雰囲気です。

ティツィアーノはミケランジェロより15歳ほど年少で、同じく長生きしたヴェネチア派の巨匠です。

例えばベラスケスはフェリペ4世の宮廷画家となりますが、寵愛されすぎて政治的な要職にも付き、ずっと宮廷に住まわされて過労で亡くなったと言われています。

いっときローマに遊学の時も、フェリペ4世の再三の帰るように、との要求にも応じず、予定より長居したようです。

ティツィアーノは神聖ローマ帝国皇帝のカール5世に仕えますが、彼の場合はいかなる王族、貴族、要人の仕事をしようとも基本はヴェネチアを離れずに仕事をしたようで、その点は自由で大物の感じがします。

枢機卿ファルネーゼの依頼でローマに出向いた時は、枢機卿のために「ダナエ」を描いています。その叔父であるパウルス三世の肖像も描いてますね。

ティツィアーノの息子の1人が聖職者で、優遇してもらえるのでは、という下心からローマに出向いたようで、巨匠も子供のためには腰を上げたわけです。

ヴェネチア派の絵画の特徴は鮮やかな色彩と言われてまして、フィレンツェが素描にこだわったのに対しての色彩です。

ヴェネチアの運河の水に太陽がキラキラと反射して独特の色彩感覚がヴェネチアの人にはあったようです。

特に赤、ですね。カルパッチョと言う画家の絵は本当に赤いです。

お料理でお刺身のカルパッチョと言うのがありますが、あれはこの画家の好物だったからその名が付いたそうです。

まず、ジョバンニ ベッリーニ一族の工房があり、弟子にティチアーノ、その弟子にティントレットとヴェロネーゼがいて、この3人がヴェネチア派の三大巨匠です。

実はティツィアーノの先輩にジョルジョーネという天才がいますが、彼は20代で夭逝していて、ティツィアーノはこの先輩を尊敬して彼の未完成の裸婦像を引き継いで完済させたり、影響も受けているそうです。

わたしはこのジョルジョーネが好きなんですが、天才には夭逝した人と、長寿の人と分かれますね。

短命がいかにも天才的のようでもあり、長寿こそが天才の天分なようでもあり、不思議です。

ですがミケランジェロもティツィアーノもベルニーニも長命の人の作品は勢いがあり、まだまだ終わらない力を感じます。

短命の人は描こうとしている中に持っているものは同じでも、描き切るだけの体力がなかったんだな、となんとなく感じます。

ミケランジェロもティツィアーノもその生命力に圧倒されますからね。

外れましたが、昨年はヴェネチアには1日だけ行きまして、とてもとても見切れていません。今回も行けてない美術館のものばかりで良かったです。

教会や宮殿の壁に描かれたものはそこに行かなくては見れないので、大体はそういうところを優先して観てきますので。

ティントレットは速書きだそうで、ティツィアーノはこの30も年下の弟子に恐れをなして3日で出て行けと言ったそうな。

ヴェネチアではティントレットの天井やら壁やらに描かれたものすごい量の絵を見てきましたが、とにかく仕事量がすごいです。

ヴェロネーゼはルーブルで一番大きな作品の「カナの婚礼」を描いた人です。

ヴェネチアには壁ではなくカンバスに描く油彩画の技法がいち早く伝わり、カンバスは板から外すと丸めて移動できるので大きな作品はそこから生まれたようです。

ヴェネチア関係の美術展は何回か行きましたが、今回はなんとなくスッキリといろいろ繋がって理解できました。

音声ガイドはいつも利用するとは限りませんが、今回は別所哲也さんなので、、それも良かったですし、とにかく何回か感激して泣いてしまいました。

作品群に感動したのはもちろんですが、平日にこうしてゆっくり絵を見にきて感動している自分にも、ちょっと感動しました。

帰りは美術館のベンチに座って水を飲んだだけ、往きと同じルートで帰ってきて、駅前で買い物して帰宅したのは4時半かな。

帰り、JRで隣に座ったやはり同じ美術展を見てきたご婦人は新幹線でどこからかみえていようで、お財布からチケット出されているのが見えて、で東京駅で降りられましたね。

昼間ちょこっと行けるんですから本当にもっと行かないと、わざわざ海外まで観に行くんだから、こっちに来てくれたのは行かないともったいないですね。

次の予定はアルフォンス ミッシャ、来週から新国立で始まります。