8月4日で渥美清が亡くなって20年だったようです。あちこちで渥美清の追悼番組をやっていて見ました。渥美清の作品は「男はつらいよ、寅次郎、フーテンの寅」ぐらいしか記憶にないのですが、寅さんシリーズは結構見ています。大変面白いですね。
渥美清は子供の頃から女性にはとてももてたそうで、家にはいつも女子が集まっていて、母上が、この子はこんな顔しているのに女子には人気がある、と言っていたそうです。
病弱で学校は休みがち、その時に家で聞いていたラジオで講談やら落語を覚えて、それが寅さんのテキ屋の口上で復活して役立ったそうです。
四角四面は豆腐屋の娘、色は白いが水臭い、ってね、、、いい調子で達者でつい聞き惚れる口上でした。
どのお話も、家を留守にしている寅さんが女性がらみで、葛飾柴又のおいちゃんの家に帰ってきて、家族を巻き込んでのドタバタなお話で、家族との掛け合いがまた楽しく。
寅さんは最後は振られてしまう、という設定ですが、どの女性も釣り合いや事情やらで寅さんと一緒になれないけれども、わたしは寅さん好きよ、とか寅さんだったらよかったのに、とか言って寅さんは案外もててますし、毎回のマドンナに対しても、清潔な品のいい感じで接していて、寅さんは素敵な男性だと思います。でも、テキ屋ですから、マドンナにしても選ぶわけにはいきませんしね。
妹のさくらが妹としては理想のタイプで、賠償千恵子がまたぴったり。あばよ、と潔い感じでどこかに去っていく寅さんを追いかけて、「おにいちゃん、どこ行くのよ、行くとこなんかないくせに、馬鹿ね」なんていうセリフに、さくらさんのお兄ちゃんへの思いが詰まっていて泣けます。
渥美清は、個人的なことを語るような番組には出なかったので、役者さんとしては面白くても個人的にはとっつきにくい愛想のない、冷たそうな人という印象でしたね。喜劇役者は外で人を笑わせるので家では口もきかない無愛想な人が多いと聞いたようにも思い、そんな印象を持っていました。
ところがその追悼番組によると、若い頃に患った結核を始めいろいろ病気されて、寅さんも楽屋で寝ながらやっとやっと演じていた時もあり、ロケに集まったファンの呼びかけに答えることもできなかったそうで、人気商売で愛想がない人との風聞も、さぞ辛かったろうなと思います。
寅さんの魅力は家族に愛されていたところ。そろそろ寅が帰ってくる頃じゃないかい?なんて言っているとフラッと寅さんは帰ってきて、みなはやんややんやと迎えます。地方で出会った人にも、困ったらここ訪ねていきなよ、などと、自分はご無沙汰している柴又の団子屋の住所を教えたりします。自分の客なら家族が暖かく迎えてくれるということに疑っていない寅さんで、こんなに家族に愛されている人もなかなかいるもんじゃありません。
48作全部は見てないかも、、つい最近も初期のさくらと博さんの結婚するお話をまた観まして、「さくらは、大学出のサラリーマンと結婚するんだ、お前らみたいな菜っ葉服着た職工なんかにさくらは高嶺の花だ」とか言って、博さんじゃ、さくらさんの旦那に不足なのかと思っていたらそうでもなくて、さくらさんも博さんが好きとわかると結婚式は大はしゃぎ。お話が一つ一つとても面白い。山田洋次さんと寅さんの共作ですね。寅さんは日本が誇る永遠に不滅の映画です。