ヘレン・ミレンとクリムト

くたびれた時間が足りないと言いながら、WOWOWで映画も見てます。「黄金のアデーレ 名画の帰還」。ウィーン出身のクリムトは好きです。

2011年にウィーンに行き八つの美術館を巡りました。ちょうどベルベデーレ美術館で、エゴン シーレの特別展をやってまして、エゴン シーレもクリムトと並んで世紀末美術を代表する人ですし、彼の絵も好きですからよかったです。あちこちの美術館から集められていて相当数まとめて見ることができました。

クリムトは生前から大御所で、お金持ちの奥様や令嬢の肖像画を描いていて、その一枚である絵画をナチに略奪されて、戦後は国の宝としてベルベデーレ美術館所有となっていたものをアメリカに亡命していた、姪が取り戻すというお話で、もちろん実話、しかもつい最近の事実です。

実話というのに惹かれます。こういう実話の映画の最後にエンドロールで登場人物がその後どうしているかを流すことが普通ですが、さらに成功し幸せになっていたり、かと思うとこんなに困難を切り抜けたのにその後はあっけなくちょっとしたことで亡くなっていたり、人の人生はそれこそドラマです。真実は小説より奇なり。

ヘレン ミレンはわたしより10歳年長で、見たくなる女優さんです。独特の個性をお持ちで、この方は若い頃より年取ってどんどん綺麗になられたタイプと思います。美人ではないですからね。

いつも思うのはデコルテが大変美しく、さすが中高年と若い人を尻目に誇らしく感じる反面、足が太くてかっこも悪くて、、、でも、この映画は気になりませんでした。綺麗なデコルテを真珠の首飾りなどで飾ってたくさん写して、スカートなら遠景、そしてパンツは素敵でした。

美女で売ってる方ではないと思いますし、こんなに一流の女優さんがこんな大根足ありなんだな、となんとなく微笑ましくそれに、もう若くないからそれなりに可愛らしい。大根足で長く生きて来た成功は勇気を与えるような。

共演のライアン レイノルズは優秀な弁護士役でメガネのおかげでそれなりに見えていてよかったです。彼も弁護士やれて嬉しいはず。

クリムトは女性をとても美しく官能的に描かれますがご本人は、熊さんのようなむさ苦しい野趣味溢れる人。56歳で亡くなって未婚。隠し子は何人もいて財産は残さなかったという芸術家ってこんな感じかな、と思わせるような人です。

ウィーンに行った時一番よかったカフェは、クリムトがいつも仲間とたむろしていたお店らしいです。ウィーンは本当に素敵な街。また行けたらいいですが。