トリノで思い出す塚本先生

トリノの王宮だそうです。次回イタリアに行くとしたら北のほう、ミラノとトリノは必ず行きます。

トリノは2006年に冬のオリンピックが開催されて荒川静香さんがイナバウアーで金メダルをとられました。フィアットの本拠地でもありますが、今はだいぶ廃れ気味で、観光都市として生まれ変わってきているようです。

トリノというと忘れられないのは、何年か前に横浜市立大学のエクステンションで塚本 博先生の西洋美術史のセミナーを受けて、トリノが特別にお好きなのか、講義にご旅行された時の満足された様子が感じられて、是非いつか必ず行かなきゃ、と思ったものでした。

フランスの貴族であるサヴォイア家が、1580年ごろにトリノに遷都して、世界で一番最初に都市計画として整備されたトリノの道路は、碁盤の目のようにきちんとしていて、街並みはどことなくパリを思わせるそうです。

その時代を反映していて建物はバロック建築が多いそうです。わたしは絵画も音楽もバロックが好きですし、建物も彫刻もバロックが好きです。

塚本先生は、トリノのどこかのカフェに入って、たった一杯のコーヒーを飲むだけでも、そこにいる価値がある、その空間が素晴らしいと、その頃はわたしはイタリアには行ったことがなかったですし、そんな風に歴史あるところを訪れてカフェなんかでお茶するのがどれほど素敵なことなんだろう、と羨ましく思ったものでした。

サヴォイア家は後にサルディニャ島も手に入れてサルディニャ王国となり、1861年のイタリア統一に尽力してイタリア王国の王となり、三年間はトリノが統一されたイタリアの首都でしたが、その後フィレンツェに遷都されました。

統一した時の王様、ヴィットリア エマニュエーレ二世の名前を取った建物や広場や道はどこの街にもありますし、ついでにその時の宰相だったカブールさんの名前の道やら広場やらもあちこちにあります。

トリノに行かれた方の評判はとてもいいですが、お一人だけイタリア史講座でご一緒であちこち散々旅行されている方は、ちっとも良くなかった、社会主義国みたいな印象だったとおっしゃいます。

それをトリノに好印象だった方に言ったら、それもわかるような気もする、とのことでした。派手さのないエレガントな町並みのようで、それが社会主義国みたい、と感じる人もいるかもしれないということらしいです。因みにこの方はイタリア語クラスでご一緒。

まあ、何事も個人の感性ですしね。もし実際に行って確認できるならありがたいことですしね。是非行きたいです。

敷居の高さを感じながらも勇気を出して初めて参加したのが、この塚本先生の美術史セミナーで、5年くらい前。その時の先生がお作りくださったプリントは全て綺麗に取ってあって読み返してみました。

必ずA3サイズのプリントが3枚と決まっていて、後もう一枚に絵画やら建物やら彫刻やら地図やらの図版のカラープリントが付きます。

美術だけでなくその背景となる政治やら宗教やらの解説も限られた書面になされていて、素晴らしい講義だったな、と懐かしいです。

横浜市大は我が家からは近いですから、また行くつもりです。5回で一括り、しかも隔週で通いやすいです。