女優サラ・ベルナールの作品

箱根仙石原あたりのルネ・ラリック美術館には相当数のラリックの作品が収められています。

彼はアールヌーボーからアール・デコの時代に象徴的な活躍をした人で、装飾品から壺、シャンデリアにお風呂のガラスの仕切りもありました。

傍らにはオリエント急行列車のカフェもあって、彼はこの列車や豪華客船ノルマンディー号の内装なども手掛けたらしいです。

ラリックと同時代のチェコの誇る人気作家、アルフォンス・ミッシャのポスターも二枚だけ展示されていました。

ラリックもミッシャも当時大人気の女優サラ・ベルナールの仕事をして有名になったつながりの展示のようです。

サラ・ベルナールの舞台ポスターを描いて有名になったミッシャですが、ベルナールから急遽ポスターの注文が入った年の瀨、主だったデザイナーが休暇に入っていたため、印刷工として働いていたミッシャが描いた、かの出世作「ジスモンダ」をベルナールが気に入り、それで専属の五年契約を結んで、あとはものすごい数の彼の作品ですが、一躍人気作家となります。

その後はアメリカで活躍した時期もありますが、晩年は故郷のチェコに帰り、20枚の大作「スラブ叙事詩」を完成させます。

この連作は来月8日からたしか、六本木の国立新美術館で、全て展示されます。

チェコ以外で、一度に20点全て展示されるのは日本が世界で初めてだそうで、ほんとに日本てすごいな、と思いますね。

さて、冒頭画像の男性の頭ですが、これはなんと、サラ・ベルナールの作品。彼女はいろいろな手段で表現したい才能豊かな人だったそうで、二週間ほど習ってこの作品を作ってしまったそうです。

削ったり足したりで形造る塑像というのですかね。

声がとても良い女優さんだったようで舞台なら、遠目の目鼻より全体の姿と声の良さが肝心ですよね。

まさか箱根でこんなものが観れるとは、この度のラリック美術館で一番感心した作品です。

ミッシャのポスターは綺麗すぎるというか軽い感じであまり好きではないですが、スラブ叙事詩はすごいらしいですから必ず観に行きます。