エル・グレコ「聖母戴冠」

毎朝送られてくる、一枚の絵画ですが、最近また宗教画が多く、キリスト教関係の絵は陰気臭いし、続くと辛いです。

この絵はエル・グレコの「聖母戴冠」です。キリストの母マリアは亡くなると、まず「聖母被昇天」という題材で描かれ、その次がこの「聖母戴冠」で、神から冠を授かるわけですが、キリスト教的にはいろいろ解釈があるそうですが、美術愛好としては、作品のテーマ、として覚えておくべきものです。

結構たくさんあります。

ルネサンス以降には、神もひげを生やした老人の姿で描かれるようになり、マリアを挟んでキリストがいて、精霊の象徴としての鳩もいます。

エル・グレコは忘れてはならない人ですが、あまり好きではありません。この絵が送られてきた朝は、嫌だな、と思いましたし、西洋美術史を趣味で勉強しているにしても、好きでないことも避けては通れないから辛いです。

独特の画風でとにかく人がゆがんで縦にものすごく長いです。

倉敷の大原美術館には、エル・グレコの「受胎告知」があってこの美術館の目玉ですが、ここでもマドリッドのプラド美術館で観た時も、特に感動はありませんでした。

ところがトレドで「オルガス伯の埋葬」を見た時は素晴らしい、と思いました。人がたくさん描かれていますが、スペイン人的な濃いお顔のイケメンばかりが厳かに集う様子は素晴らしいです。

世界三大絵画、と言われるものがありまして、ベラスケスの「ラス・メニーナス」、レンブラントの「夜警」、レオナルド・ダ・ヴインチの「モナリザ」、そしてこのエル・グレコの「オルガス伯の埋葬」です。

四つありますが、いろいろな組み合わせで三大絵画と言われますが、どんな組み合わせでも、必ず入るのが「ラス・メニーナス」で、だからでしょうか、この絵が世界で一番の絵画、ってことになっているようです。

「ラス・メニーナス」はマドリッドで観てきましたが、バルセロナで観た、ピカソのパロディの「ラス・メニーナス」も素晴らしく、むしろわたしはピカソのほうに感動しました。

わたしは、モナリザもレンブランドもあまり好きではありません。ですがベラスケスは作品も人となりも好きですね。

毎日送られてくる絵画は、キリスト教関係のものが多く、時々辛くなりますが、西洋美術の題材としては圧倒的に多いようですから、仕方がありません。

同じ宗教でも、美術の題材としてギリシャ神話のほうはおおらかで大胆で奇想天外で大変面白いですが、今の世界で誰も信仰していない、ってとこがいいですよね。

だから好き勝手に解釈してのびのび鑑賞できるんじゃないかなって感じています。